俵山温泉のお湯は余分な角質を落とすアルカリ性で湯上りは卵肌 (c)朝日新聞社 @@写禁
俵山温泉のお湯は余分な角質を落とすアルカリ性で湯上りは卵肌 (c)朝日新聞社 @@写禁

 厳しい寒さに恋しくなるのはやはり温泉。“温泉の達人”である温泉療法研究家の野口冬人さん(79)に健康に効く西日本の秘湯を聞いた。

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 木屋川上流部の静かな山間部にある俵山温泉(山口県)は、詩人・金子みすゞの故郷です。pH値9.8のアルカリ性単純温泉で、これは日本でも最高レベルです。リウマチに効くことで知られていますが、高血圧症、動脈硬化症にも有効だといわれています。

 温泉郷にある唯一の病院「俵山病院」には、温泉を利用したリハビリ施設があり、腰痛やリウマチの治療が受けられます。

 25軒ある宿のほとんどは内湯を設けていません。これは貴重な源泉を守る目的によるものです。温泉客は、二つある共同浴場に、浴衣姿で首にタオルを下げ、下駄をカランコロンと鳴らして通います。明治・大正期には日本全国で当たり前だった「外湯文化」が今日も色濃く残っている、全国でも珍しい温泉地です。

 大分県の長湯温泉の立ち寄り湯「ラムネ温泉の館」の湯からは、カニの吹く泡を思わせるほど炭酸の気泡がフツフツと湧き出ていて、炭酸含有量は日本有数。入浴すると泡がまとわりつくほどです。糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病をはじめ、胃腸病、痛風、リウマチなどの内臓系疾患に効果があることで知られています。

週刊朝日 2013年1月25日号