就活短期化で混乱する学生たち (c)朝日新聞社 @@写禁
就活短期化で混乱する学生たち (c)朝日新聞社 @@写禁

 長引く若者の“超就職氷河期”。しかし、実情に詳しい東洋大学就職・キャリア支援部部長の深野弘美氏は、「企業の方と話をしていると、採用意欲そのものは非常に高いと感じます」と語る。

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 実際に求人数も、企業が出す内定数も多くなっています。でも、その内定が一部の学生に集中してしまっているのが現状です。ある学生が9社も10社も内定をもらう一方で、70社受けて1社も受からなかった学生もいる。「二極化」が進んでいるんです。

 数字でみても、採用意欲とは別に就職状況は依然として厳しい。文科省・厚労省発表の内定状況(10月1日現在)で比較すると、過去5年で内定率がいちばんよかった2008年は69.9%でしたが、昨年は63.1%でした。

 学生側にも問題があって、就業意欲や、「こんな仕事をしたい」という思いがない学生もいます。自分は何が好きで、強みは何なのか、わかっていないのです。

 11年から経団連の倫理憲章が変わり、就職活動は12月から開始することになりました。以前に比べて就職活動の期間が2カ月短くなり、ある学生は、「エントリーシートを書く時間すらない」と言っていました。そのうえ経団連に所属しない企業は12月より前に採用活動を行うなど、混乱状況は今年も続いており、仕組みを考え直す必要があるのではと思います。

週刊朝日 2013年1月25日号