結婚式や孫にはお金を惜しまない (c)朝日新聞社 @@写禁
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 デフレに苦しむ日本経済。共立総合研究所副社長の江口忍氏は「その突破口のヒントは名古屋にあります」と語る。

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 名古屋といえば、豪華な結婚式が有名です。昨年11月に、名古屋の「ハデ婚」の経済効果を調べました。

 挙式や披露宴、2次会などの費用総額が600万円を超えるものを「ハデ婚」と定義して、その経済効果を試算すると、愛知県だけで368億円になりました。この数字は、地元球団・中日ドラゴンズが2007年に日本一になった効果に比べて、2倍以上にもなります。

 これは、貯蓄があるシニア世代の消費を刺激するからです。東海地方は、20代、30代の未婚女性が親と同居する割合が78.7%と全国でトップ。かわいいわが子の結婚式を盛大に開こうという親心も、経済効果を大きく引き上げているのでしょう。また、雇用面にもよい影響を与えています。結婚式場の従業員など、「ハデ婚」による雇用創出は、毎年約2500人にもなります。

 さらに注目すべきデータがあります。この地域は、結婚直後に実家のある県に住む割合も86.8%と全国でいちばん多いのです。この影響でしょうか。愛知県は、子どもの衣類や靴にお金をかける傾向が顕著です。たとえば、1世帯あたりの平均月間消費額を調べてみると、子ども服は全国2位、子ども靴は全国で1位になっています。

 ただ、安倍政権が有効な景気対策を効果的に打ち出さないと、不況に強いといわれる名古屋経済も苦しい状況に追い込まれるでしょう。今年以降も、結婚や子どもにかけるお金の総額に変化は見られないと予想されますが、シニア世代が大きな消費に動く名古屋経済を止めないようにしてほしいですね。

週刊朝日 2013年1月25日号