自民党が総選挙で圧勝してから約1カ月。日経平均株価はほぼノンストップで上昇し、1万円の大台を突破した。為替は2年半ぶりに一時1ドル=89円台の円安となった。看板政策が次々と実を結び、期待が現実に変わると、どうなるのか。

「デフレ脱却の道筋が見えてくるなら、年末に1万5千円、来春にリーマンショック前の高値である1万8千円まで上昇してもおかしくはない」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成運用部長)

 そして、「歴史的な大相場」の到来を予感させる出来事もすでに起きている。

 東証1部に上場する企業を業種別でみると、昨年の上昇率トップは、証券だった。証券株は、相場上昇の恩恵を最も受ける業種だ。今後の相場上昇を期待して買われているというのだ。

 東海東京証券の鈴木誠一マーケットアナリストによると、証券がトップとなったのは1986年以来、26年ぶり。なんとバブルが始まった年だ。「安倍バブル」の本格化か。

「デフレで失われた20年間を取り戻す動きはすでに始まっているといえる。今後数年間、日本株は上昇基調となるでしょう」(鈴木氏)

 その道に、安倍政権が政策をうまくまとめられず、デフレ不況が続いた場合はどうなるのか。

「膨らんだ期待がはげ落ちる可能性は十分にある。為替はどんな反応をするのか、まだわからない。疑心暗鬼の投資家も多いと思う」(アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之運用部長)

 寺尾氏は、早ければ4月に相場が頭を打つ可能性があるとみる。桜が散るとともに、期待はしぼむ……。

週刊朝日 2013年1月25日号