温泉の有効性は科学的にも証明されつつある。蓄積した心身の不調を温泉で洗い流し、今年一年を健やかに過ごすにはどうすればいいのだろうか。

 温泉でいちばん注目されるのが「効能」だ。効能は、泉質に関係ない「一般的な効能」と、泉質による「泉質別効能」に分けられる。温泉が多く含む成分によって、泉質は大きく11種に分類されている。だが、温泉は天然のものなので、一つの温泉が複数の泉質に該当することもある。成分の濃度や比率によっても効能が変わり、素人が理解するのは難しい。では、何を基準に温泉を選べばいいのか。温泉療法に詳しい国際医療福祉大学大学院の前田眞治教授に、いわゆる「温泉分析書」の簡単な見方を聞いた。

「泉質については、次のようにざっくりと理解しておけば十分です。『硫黄泉』と『炭酸泉』は成分が皮膚から吸収されて血管を拡張し、老廃物の排出を促します。さらに、コレステロール値を下げるといわれています。泉質に“塩”の文字が入っているものは『塩類泉』。高い温熱効果があります」

 PH値にも注目したい。7が中性で、数字が大きいとアルカリ性、数字が小さいと酸性が強くなる。

「アルカリ性の温泉は角質や皮脂を溶かし、新陳代謝を促進するので、アトピー性皮膚炎や美肌などに効果がある。飲用すれば胃酸から胃の粘膜を保護してくれます。酸性の場合は殺菌力に優れ、アトピーや水虫、疥癬(かいせん)に特に効果的です」

 温泉分析書のなかの遊離成分の欄にある「メタケイ酸」は乳液などの化粧品にも配合されている成分で、皮膚の細胞増殖を促す。意外なところでは、単純温泉がうつ病に効くという。

「単純温泉は刺激が少ないので軽視されがちですが、抵抗力が落ちた心身を癒やすにはぴったりの温泉です」

週刊朝日 2013年1月18日号