アバターロボットとデートも 近未来日本を予測 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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アバターロボットとデートも 近未来日本を予測

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ロボット(奥)が認識した布の感触が、グラブ型の装置を通じて人間(手前)に伝わる/12年7月、横浜市の慶応大で (c)朝日新聞社 

ロボット(奥)が認識した布の感触が、グラブ型の装置を通じて人間(手前)に伝わる/12年7月、横浜市の慶応大で (c)朝日新聞社 

 あと20年ほどで、日本は65歳以上の高齢者人口が3分の1という超高齢社会に突入する。働き手の減少に社会保障費の増加。暗い見通しばかりが囁かれるが、悲観的すぎやしないか。これまでの価値観を覆す技術をつくり.不可能を可能に変えるアイデアを生む頭脳が、日本にはある。そんなたくましきニッポンの未来をシミュレーションした。主人公は桜井誠、65歳だ。

*  *  *
 2030年の日本には安価でみずみずしい農産物が溢れていた。電機メーカーなどの大企業が農業分野に相次いで進出し、植物工場を経営していたからだ。場所を選ばない植物工場は、東日本大震災の爪痕が深く残る土地や、都会のビルの地下など全国各地の至るところで稼働していた。

 当初、植物工場は、旧来型の家族経営の農家や、「日本の農村風景を守る会」などの政治団体から抗議を受けたが、世界各地で穀物価格の爆騰が始まると次第に沈静化した。

 日本は、レタスなどの葉物だけでなく、小麦などの穀物の工場栽培にもいち早く成功した。無農薬で安全な農産物は、いまでは、中国やインドなどの富裕層からの注文が後を絶たない。

 週末、桜井誠(65)は一人娘の未来(31)を自動車で迎えに行った。

「目的地を、お知らせください」。未来が自動車に乗ると、機械音だが流暢な女性の声がアナウンスした。誠が、「お台場」と告げると、「承知しました」と返答がくる。

 全自動運転なので、ハンドルは握らなくていい。最近は渋滞をほとんど見かけなくなった。自動車が自動で車間距離を取るようになったからだ。目的地まで、シートに深く座り、娘との会話を楽しんだ。

 未来によると、前妻の恭子(64)は、赤道直下の「グリーンフロート」に住んでいるらしい。「赤道直下の太平洋上に浮遊する直径3千メートル、高さ1千メートルの巨大コロニーよ。4万人が居住でき、食料やエネルギーも自給自足しているの」。

 清水建設が最近稼働したそうだ。食糧や水問題、環境破壊を嫌い、新天地を求める人々が世界中から移り住んでいるという。

 レストランに到着し、店内に入って驚いた。赤道直下にいるはずの恭子がテーブルの席に座っていたのだ。なんだ、そういうことだったのか。照れていると、娘が脇腹を小突いた。

「お母さんの『アバターロボット』よ。むこうからログインしてるの」。よく見ると顔は3D映像で、動きも少しぎこちない。

「お久しぶりね」。差し出された右手に触れると人のぬくもりがあった。声としぐさは、懐かしい恭子そのものだった。

週刊朝日 2013年1月18日号


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