相続増税を打ち出していた民主党政権が退陣したが、財政状況や国民感情を考えると、消費増税だけでなく、「資産」への課税強化は避けられない。

 そこで知っておきたいのが節税対策だが、こんな“荒業”を使う人もいるという。孫と養子縁組をして遺産の相続人にするというテクニックだ。孫を子=法定相続人にすれば、相続税の基礎控除額を増やすことができるからだ。

 現行では5千万円+(1千万円×法定相続人の数)が相続税の控除額となる。1人の孫と養子縁組を結べば、法定相続人が1人増えてさらに1千万円を控除できる。基礎控除額の引き下げが予定されており、相続人の数を増やして節税しようと考える人が増えるかもしれない。法定相続人に含められる養子の数は、被相続人に実の子がいる場合は1人まで、実の子がいないと2人までと定められている。

 いいことずくめの孫養子だが、デメリットもある。「被相続人の配偶者や子、または父母」以外の人が相続した場合、相続税は2割増しで計算される。

 さらに、この方法は家族関係をややこしくする危険をはらんでいる。養子縁組で50代の自分の子と、20代の孫が同列の“子”になれば、いくら節税のためとはいえ、波風が立ちかねない。

「相続人が配偶者と子1人で相続財産が5億円の場合、相続税は6900万円になります。このとき孫1人を養子にすれば、相続税は1050万円減りますが、躊躇する人は多いですね」(マックス総合税理士法人の税理士・武石竜さん)

週刊朝日 2013年1月4・11日号