ストレスなどが要因で、誰かと争ったり、猛獣に襲われて逃げたりする夢を見たときに、夢で見た状況での言動がそのまま激しい言葉や暴力などの行動として現れてしまう病気、それがレム睡眠行動障害だ。通常はレム睡眠中に抑制される脳のなかの運動系の神経伝達が、何らかの要因で障害されていることが原因と考えられている。

 レム睡眠行動障害は、まだ一般的には認知度が低い病気で、適切な処置をされずに長年悩んでいる潜在患者が多いと考えられている。なかには、症状を10年以上も放置した結果、暴力が原因で離婚に至ったり、社員旅行で上司を殴り会社を解雇されたりした人もいるという。しかし診断がつけば、抗てんかん薬である、クロナゼパム(商品名リボトリール)という薬を処方することで、1~2週間で8~9割は症状の改善が認められるとのことだ。

 レム睡眠行動障害は、人によって症状の重度や頻度がさまざまであると同時に、高齢者が多いため副作用や合併症にも注意して治療をしていかなくてはならないと、むさしクリニック院長の梶村尚史医師は話す。

「通常、薬は飲み続けなければならないと言われていますが、ご家族やご本人に支障がない程度の寝言であれば経過をみてもいいと思います。けがの原因になるようなものを周囲から片付けるなどして寝室の環境を整え、ストレスを発散したり、過度の飲酒を控えたりするなど、症状を悪化させる要因を取り除く努力をして、状況に応じて薬を服用するかどうかを考えることも大切です」

週刊朝日 2012年12月21日号