前々回が郵政民営化、前回が政権交代と「ワンイシュー」選挙だったのとは対照的に、多種多様な争点が挙がっている今回の衆院選。そのうちの一つにTPP交渉参加もあるが、アダルトビデオで流通革命を起こし、100億円企業に育てた後、農業に転身した高橋がなり氏は、JAが反対している理由をこう分析する。

*  *  *

 僕はTPPへの参加に大賛成です。日本の農業を強く、カッコいい業界にするためには、絶好のチャンス。農業関係の会社をやってて、こんなこと言うのは僕ぐらいでしょうけどね。

 我々が取引する農家は、「脱JA」的に独自で販路を構築していく、志の高い方ばかり。彼らは言います。「絶対賛成。でも、地元では言えねえな」と。

 TPPを結んだ後で懸念されるのは、政府から農家に莫大な補助金が出ることです。そうなると、「補助金が出るんなら田んぼ持っとこうか」となって、志のない農家が淘汰されない。

 それにしても、JAがTPPに猛反対するのは、実はJA自身が米国に責められるからじゃないですか?

 だって「金融屋」でありながらさまざまな事業も手がけている機関なんて、あそこだけですよ。金融屋が事業もやってたら、他の銀行はかないっこない。TPPに入ったら、米国は必ず「JAを農家から切り離せ」と言ってきますよ。昭和の時代には食糧を国民に行き渡らせる重要な役割を果たしたJAも、豊かになったいまの時代には即していない。変わるべきときが来ていると思います。

週刊朝日 2012年12月21日号