昨年からの7カ月にも及ぶ平成中村座のロングラン公演を成功させた中村勘三郎さん(享年57)。食道がんの手術後に難病を患い、急逝した。がん治療が進んできたとはいえ、働きざかりを急襲する「がん」はやはり恐ろしい。

 現代人の「食生活の欧米化」は、大腸がん乳がんの増加の一因といわれる。国立がん研究センターの森山紀之がん予防・検診研究センター長が解説する。

「もともと大腸がんは欧米人に多かったのですが、日本人にも増えています。ハンバーガーなどを食べる習慣がなかった日本に脂っこい洋式の食べ物が入ってきている影響が考えられます。同じように、乳がんも急激に増えています」

 また、胃がんでは、「塩分」もリスクがあるという。宮迫博之さん(42)が公表したことで記憶に新しいがんだ。

「50代以上の日本人の7割ぐらいが胃の中に胃がんの原因になるピロリ菌をもっていますが、そこにお酒と塩が加わると、がんになりやすくなります。日本で胃がんが多いところを調べると、塩分の強い料理が多い東北地方が挙がる。それから、和歌山。梅干しの産地ですからね」

 最近、健康志向から摂取する人が増えている「サプリメント」も、注意が必要だという。適切な量であればよいが、体に良さそうと取りすぎると危険らしい。

「よく、『何を食べたらがんにならないか』と聞かれますが、『何を食べたらがんになるのか』と考えたほうがいいですね」(森山センター長)

週刊朝日 2012年12月21日号