「うつではないか」と思ったとき、どのように医療機関を選び、治療に向き合えばいいのか。地域での精神医療や医療提携にくわしい、こころの診療所細田クリニック(松江市)の細田眞司医師に聞いた。

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 精神的に落ち込んだ人を心配するとき「うつじゃないの?」と当たり前に会話されるほど、うつ病の認知は広がり、昔に比べて受診しやすい病気になりました。

 精神科を持つ医療機関は、大学病院や総合病院、精神科の専門病院、クリニックとさまざまですが、それぞれに得手不得手があります。

 からだの病気が隠れていそうな人は、大学病院や総合病院を選ぶほうがいいと思います。調べてみると、うつ病ではなくからだの病気が原因だった、ということがあるからです。そうでない場合、地域の精神科クリニックや精神科病院にかかるといいでしょう。

病院選びに迷ったときは、かかりつけの医師が頼りになります。島根県の調査では、通院中の患者の自殺を経験したことがあるかかりつけ医は38%、うち内科医では56%にも上ります。そのためかかりつけ医は、精神医療に関心が高く、地域の精神科医療機関にくわしい場合が多いのです。

 初めて精神科を受診する人は経過や病状をどう話していいかわからないことが多いので、主治医と継続的に相談していくことが重要です。治療を始めて3カ月ほどたっても改善しない場合は、別の医療機関にかかるのも一つのやり方です。

週刊朝日 2012年12月14日号