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 学校週休2日制の完全実施から10年余、「土曜授業」が全国的に復活の兆しを見せている。なぜ今、再び増えつつあるのか。背景にあるのは「ゆとり教育」の反動だ。

 経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査で日本の順位が低下したことなどから「ゆとり」への批判が高まり、2008年には「脱ゆとり」に向けて学習指導要領が改訂された。

 この改訂では、小学校6年間で計278時間、中学校3年間で計105時間の授業時数増が盛り込まれた。小学校では11年度から、中学校では今年度から全面実施。この授業時数確保が、土曜授業復活の大きな要因だ。東京都をはじめ、栃木県内や福岡県内でも導入され、大阪市でも来年度に全小中学校で予定されている。

「うちの学校は、とても土曜授業をできるような状態じゃないですよ」と憤るのは、都内の中学校で数学を教えるBさん(35)だ。Bさんの学校では、教員の約1割を占める非正規教員は契約上、土曜授業を担当しない。だから科目は限られ、Bさんを含めた正規教員の仕事量はかさむ。公開授業の準備で徹夜をする同僚もいる。

 土曜授業を取り入れざるをえない、別の理由もある。大半の学校で土曜授業を取り入れる東京のある自治体の担当者はこう話した。

「今は学力で他の自治体と比べられる時代ですから。上からも地域からも、『何かやれ』というプレッシャーがあるんです」

 東京都では04年から独自の学力テストを行い、23区と市町村ごとの平均正答率を公表している。07年からは全国学力調査が始まり、都道府県別の成績が公表されている。こうした競争原理が、成績の芳しくない地域の学校を駆り立てている一面もある。ちなみに、全国学力調査で常にトップクラスに入る秋田県では、「定期的な土曜授業をしている学校は、把握していません」(義務教育課)とのこと。「土曜授業で学力が上がる手応えはない」(Bさん)という現場の感覚もあるが、さて。

週刊朝日 2012年12月14日号