いよいよ衆議院選挙投票日まで2週間を切った。有権者はいったい何を見て投票すればいいのか。東大客員教授の御厨貴氏と、東大教授の松原隆一郎氏が、それぞれの政党を採点した。

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松原:まず民主党ですが、野田佳彦首相(55)が党首討論で見せたタンカは評価するとしても、その後は離党議員を切り捨てました。党首力はBとCの間のCプラスかな。

御厨:議員が次々に離党したから、結束力はE。奇襲力は、党首討論で自ら仕掛けて勝ったのでBをつけましょう。

松原:党がバラバラになったわけですから、防衛力はありません。それでも発信だけはしているから、説明力はC。再生は難しそうだからD。寸評をつけるなら、奇襲で若干巻き返したので「追い詰められて息を吹き返しました。今後も頑張ってください」でしょうか。

御厨:連立を組む国民新党は、何もしていないし、分裂したから、オールE。政党としては、もう「風前のともしび」です。

松原:自民党は、2度目の登板の安倍晋三総裁(58)が、やはり党首討論でミソをつけました。党首力はDだけど、2010年参院選の勝利を含め、ここまで分裂せずにきたから、結束力はA。

御厨:民主党と違って党を割らなかったわけだから、防衛力はBをつけましょう。再生力は、何もしなかったけど民主党の敵失で再生しちゃいましたね。

松原:自民党が政権奪回後にどうなるかは、安倍さん次第でしょう。スタートでつまずくとグズグズになって、一気に崩れる可能性もある。寸評は「すべては安倍さん次第」です。

御厨:未来の党の奇襲には驚かされました。これはAプラスの最高点です。政界の数合わせにおいては、いまだに小沢一郎さん(70)の右に出る者がいないことを証明しました。問題は、小沢さんがいつまでジッとしていられるか。寸評は「小沢さん、いつ出てくるんですか」ですね。「出る」には「党を割って出る」という意味も込めて。(笑い)

週刊朝日 2012年12月14日号