自民党の大物がひしめく福岡で、仁義なき“キングメーカー”抗争が巻き起こっているという。発端は、福岡1区の公認候補者をめぐるトラブルだった。

 自民党の福岡県連は当初、今期で引退した古賀誠元幹事長(72)の元秘書、新開裕司氏(44)の公認を申請していた。ところが党本部が11月29日、この県連の意向をひっくり返し、県議の井上貴博氏(50)を公認したのだ。新開氏はすでに「決起集会」までした後で、地元は「前代未聞のこと」と騒然となったという。

 問題は、井上氏擁立に、あの麻生太郎元首相(72)が動いたことだった。地元政界関係者が解説する。

「麻生氏が自分の推す井上氏を強引にねじ込んだ形です。党本部の会議では石破茂幹事長が地元の意向を軽視することに反対したそうですが、最後は裁定を一任された安倍晋三総裁がバッサリと決めたといいます」

 背景には、9月の自民党総裁選での“貸し”があったという。「総裁選で安倍氏の陣営についた麻生氏は、党員への猛烈な電話攻勢を展開し、地方票の取りまとめに成功した。これで安倍氏に恩を売り、発言力を高めたのです」(県連関係者)。

 首相の座を失って3年。自民党の“長老”たちが軒並み引退していく中、にわかにキングメーカーじみてきた麻生氏だが、この反動は大きそうだ。何しろ、蹴落としたのは、あの古賀氏の子飼いの元秘書。メンツを潰された県連も「もう麻生の言いなりにはならない」と息巻いているという。

 追いやられた新開氏は、比例九州ブロックからの出馬となったものの、これですべて丸く収まるわけもないだろう。

週刊朝日 2012年12月14日号