今年でデビュー10周年を迎えた女優の石原さとみさんは、2010年に亡くなった井上ひさし氏の作品「組曲虐殺」の舞台に立つ。12月から始まる公演について、石原さんはこう話す。

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 3年前が初演だったんですけど、井上ひさし先生の台本が日に日にできあがっていって、全部できあがったのが本番の4日前だったんです。だから本番中が稽古みたいな感じで、日を追うごとにセリフが自分の身になじんでいくという感じでした。

 大千秋楽の地方公演のときにも気づくことがあったぐらいなんですよ。だから「必ず再演したいね」という話で盛り上がって、やっと今回、3年ぶりに同じキャストで再演することになったんです。井上ひさし先生はお亡くなりになってしまいましたけど、「先生に届け!」という気持ちです。

 井上先生が命を削って書かれた言葉なので、胸に刺さるセリフが多いと思います。

 先生は、みんなの写真を栄養ドリンク剤の箱に貼って、動かしながらセリフや動きを考えて脚本をつくっていったそうで…。私は日々できあがってくるセリフを読んで、感じ取ったままやってみたら、井上先生がすごく気に入ってくださって、「瀧ちゃんの『いいな』っていうセリフが大好きなんだ、僕は」と言ってくださいました。

週刊朝日 2012年12月7日号