ある立候補予定者の事務所。看板は「たちあがれ日本」、貼り紙は「日本維新の会」。ちなみに宣伝カーには「太陽の党」=11月20日、福岡県古賀市 (c)朝日新聞社 @@写禁
ある立候補予定者の事務所。看板は「たちあがれ日本」、貼り紙は「日本維新の会」。ちなみに宣伝カーには「太陽の党」=11月20日、福岡県古賀市 (c)朝日新聞社 @@写禁

「現在の放送法はこれでいいのか?」ニュースキャスターの辛坊治郎氏は、「テレビ局の社員時代には絶対に口にできなかったこと」として、こう疑問を呈す。各メディアが遵守すべき「政治的公平」の法的義務について、辛坊氏はその基準のあいまいさを指摘。「問題解決の方向性は二つある」という。

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 一つは、アメリカではすでに1980年代の後半に実現したように、放送局の「公平性」に関する法的義務を解除することだ。アメリカで「フェアネスドクトリン」と呼ばれる公平原則が解除された理由は、「多数のケーブルテレビチャンネルが誕生して受像機が3大ネットワークの独占物でなくなった時代に、個々の局に政治的公平性を義務付けるよりも、自由なメディアを確保することの方が、国民にとって真の公平を実現することにつながる」という判断があったからだ。日本でも地上波に加えて、BS、CS、さらにはインターネット放送まで始まっている時代に、「公平」の法的義務が果たしてどれほど合理的か、一考の余地はあるだろう。

 解決方法はもう一つある。それは多党化の原因になっている現行の選挙制度と政党交付金制度を変えることだ。なぜこれほどたくさんの政党が生まれるのか? それは、衆議院選挙に180議席もの比例部分があることと、所属議員が1人しかいない政党に対しても年間1億円以上の政党交付金が支払われる制度ゆえだ。大政党に所属して交付金の「おこぼれ」にあずかるよりも、自分で政党をつくって直接手にする方が「オイシイ」と考える議員が現れても不思議ではない。それらの結果として、14もの政党が乱立している状態が、代議制民主主義にとって果たして健全と言えるのか?

週刊朝日 2012年12月7日号