看取りの現場で介護士と看護師がわかりあった瞬間 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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看取りの現場で介護士と看護師がわかりあった瞬間

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 延命治療をしない「平穏死」というキーワードを通して、理想の看取りを一緒に考えている医師がいる。「平穏死」提唱者で著書もある、特別養護老人ホーム「芦花ホーム」の石飛幸三(いしとびこうぞう)医師(77)だ。石飛氏がこう語る。

*  *  *
 ある入所者が家族や芦花ホームの介護士によって、安らかに看取られました。一生懸命に看取りをした介護士、家族の口からは互いに、「大切な場面に立ち会わせてくれてありがとうございます」という言葉が素直に出たのです。

 私も看護師も、それを聞いたときに胸に刺さっていた何かがストンと落ちました。看護師の態度もガラリと変わりました。

 以前は介護士が、ターミナルケアの状態にある入所者をお風呂に入れてあげたいと看護師に判断を求めても、「37.5度。熱があるんだから死んじゃうじゃない」と、一蹴していたのが、「じゃ、私も一緒にお風呂に入れましょう」と優しい言葉が出るようになりました。そうです。もうすぐ亡くなる人たちなのです。汗まみれの体を、せめてきれいにしてから旅立ってもらいたいと思うのは自然な気持ち。考えてみれば単純なことでした。

 医師も看護師も介護士も家族も、みんなが入所者のことを第一に考え、物事の本質を見るようになったのです。芦花ホームは、人生の最終章を穏やかに受け止める場所。亡くなる瞬間になって、病院に送るようなことはしない、とみんなで決めたのです。

週刊朝日 2012年11月30日号


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