次々と遺体が発見される尼崎連続怪死事件で、主犯格とされる「女親分」角田(すみだ)美代子容疑者(64)の側近中の側近とされる女2人が14日、7日の逮捕後、初めて公の場に姿を見せた。

 神戸地裁尼崎支部(浅見健次郎裁判官)で窃盗罪に問われている、戸籍上の妹・角田三枝子容疑者(59)と美代子容疑者の長男の妻である角田瑠衣被告(27)だ。 2 人は美代子容疑者とともに岡山県の死体遺棄容疑で再逮捕されている。

 この日は、窃盗罪の法廷ということで、死体遺棄容疑など数々の“疑惑”について直接言及することはなかったが、美代子容疑者の「恐怖支配」の一端が明らかになった。

 弁謹人によると、行方不明になっている瑠衣被告の祖母(88)の年金窃盗が始まった2010年2月ごろ、2人は瑠衣被告の祖母がすでに亡くなっていると認識していたという。捜査関係者が言う。

「週刊朝日(11月23日号)でも触れられていたが、高松市内の瑠衣被告の実家周辺に埋められているという新たな遺体が、この祖母だとみられます。今回、岡山の死体遺棄容疑で逮捕した容疑者の一人からも、祖母は10年ほど前に殺害されたという供述が出ている」

 美代子容疑者は、この「窃盗」事件においても中心的役割を果たしていたと見られる。検察側は冒頭陳述で、一連の事件で“暴力装置”の役割を果たした美代子容疑者の義理のいとこ、李(角田)正則容疑者(38)の名前を挙げ、こんな指摘をした。

「美代子容疑者が、瑠衣被告の父親らに対し、(高松市の家に転がり込んでいた)李容疑者を引き取るかわりに財産をよこせと要求。祖母が年金5年分、900万円を入れることで合意した。そのころから、祖母は行方不明になり、勝手に両被告が預金を引き出して使うようになった」

 つまり、高松市の瑠衣被告の実家に入り込んだ美代子容疑者が、李容疑者をダシに脅して年金をせしめる話をつけた、という構図だ。

週刊朝日 2012年11月30日号