中村吉右衛門さん スケッチを通した意外な体験 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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中村吉右衛門さん スケッチを通した意外な体験

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週刊朝日

 初代中村萬之助として4歳で初舞台を経験し、2011年には、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された歌舞伎俳優の中村吉右衛門さん。中村さんの趣味は絵を描くことで、巡業先、プライベートの旅、どこへでも絵の道具を持っていくのだそう。絵を描くと写真だとぼやけてしまう記憶でも、鮮明に思い出せることに加え、いろんな出来事が起きるんだとか…。

*  *  *
 巡業先の鹿児島で、たたずまいが日本の家屋とはちょっと違う、ブルーグリーンに塗られた板壁の、木造建築の家があったんです。塀の向こうは庭なのでしょう、バナナの木が覗いていて、南国ならではでした。これはいいなと思ってその場で描いた絵を、あるとき、雑誌の取材か何かでお見せしたんですね。そうしたら、「あれは私の家です。描いていただいてありがとうございます。光栄です」って丁寧なお礼状が届いて。あれは驚いたし、うれしかったですね。

 年をとって落ち着いたら、絵を描きながらのんびり過ごそうと思っているのですが、年々忙しくなるので、しばらくは難しそうです。

 ただ、数年前に一度開いた絵の個展はまたやってみたいですね。役者は、いつもお客様と一対百、一対千で向き合っているでしょう。それだと、今日、芝居が良かったか悪かったか、掴めない場合があるんです。でも個展でお客様一人ひとりと話していると、直に感想を聞くことができます。これは私にとって新鮮な体験でした。今の慌ただしさだと当分は無理でしょうが、あの気持ちはもう一度味わってみたいですね。

週刊朝日 2012年11月23日号


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