連日「第三極」という言葉がメディアに躍っている。作家の室井佑月氏は、マスコミが頻繁に取り上げる第三極「石原・橋下連合」の政策が、二大政党の片割れである自民党にとても近いことに違和感を覚えているようだ。

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 新聞やニュースで第三極、第三極って騒いでいるけど、彼らが言う第三極ってなんなのさ。 もちろんそれくらいはわかってるつもりだったけど、頭が混乱してきちゃった。第三極というのは、二つの大きな政党のその次の勢力になりそうな政党のことじゃない? ほんでもって政党とは、共通の政治主張や目的を掲げる集団じゃない?

 次の総選挙であたしが支持したいのは、脱原発、消費税増税反対、TPP反対の政策を掲げる集団で、となると小沢さん率いる国民の生活が第一ということになるが、なぜかこちらはほとんどマスコミに取り上げられない。人数的には3番目だっていうのにね。

 よっぽど、今この国を動かしている一部の権力者たちは、脱原発・消費税増税反対・TPP反対、この三つはしたくないんだろうと思われる。嫌なことなんだろう。

 けど、その三つを堂々と主張してくれる集団こそが、第一極とも第二極とも違う、それ以外の受け皿になる第三極なんだと思うけど、違う?

週刊朝日 2012年11月23日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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