来春開学予定の札幌保健医療大、秋田公立美術大、岡崎女子大(愛知県)の3大学の認可問題を巡り、大騒動を起こした田中真紀子文科相(68)。世間から猛反発を食らうと、6日の会見で「新たな基準に照らしてもう一回審査します」と一転。7日の衆院文科委員会で野党から責め立てられると、「現行の制度にのっとって適切に対応する」と元の鞘(さや)に収まった。だが、このまま世論や政治力に負けた真紀子氏が引き下がるわけがない。

「真紀子さんは私学助成のメリハリ化を考えています。今回、省内には『助成金の額と比べたら、3大学に賠償したほうが安上がりだ』という強硬論もありました。調査研究や大学改革をしないところはばっさり削る。当然3大学も含まれます。真紀子さんはそんなに甘くない」(政務三役の一人)

 そして真紀子氏は、さらなる一手も考えていそうだ。

「大臣は『学び』全般の改革に興味を持っています。特にいじめ問題には熱心です。先日行われた『いじめ問題アドバイザー』との懇談でも、一生懸命耳を傾けていました。生徒や学生の個性をどう生かし伸ばしていくか、力を入れていくのでは」(文科省幹部)

 文科省は大津市で発生したいじめ事件を契機に、「アドバイザー」制度を発足させた。いじめ自殺の遺族、医師、警察OB、教育委員ら11人で構成し、10月下旬、初会合が開かれた。

 大臣就任後の会見で真紀子氏は、「自分が自信を持つ人間をつくる。自信があれば人とのかかわり方もそう陰湿にならない」と発言。同月中旬に就任後初めて地元新潟入りした際も、高校で「皆それぞれ違う。違うことを認め合い、一人ひとりを大切に」とあいさつした。

週刊朝日 2012年11月23日号