自民党安倍晋三総裁は11月1日、東京・有楽町での街頭演説で「特例公債について議論しても構わない」と、いきなり審議拒否路線の転換を宣言した。

 臨時国会が始まり、審議拒否を続けることへの世論の批判が高まりかねない状況になって、ようやく折れたわけだが、政府は地方交付税の11月交付分(約4兆円)の支払い延期を決めるなど、すでに影響は出始めている。衆参ねじれがある限り、日本の財政が毎年ぐらぐらと揺れる現実は変わらない。この特例公債法案の取り扱い以外にも、国会が抱える積年の課題は少なくない。そのため、これまでも様々な改革案が提言されてきた。たとえば、世界平和研究所が昨年8月に出した「両院協議会を見直し、衆院優位に」とするものや、今年3月の大阪維新の会の「船中八策」原案にあった「参院廃止、一院制へ」などだ。

 提言のほとんどが、「衆参ねじれ」と、衆院とほぼ対等の「強すぎる参院」の存在が国会の停滞を生んでいると指摘している。たしかに、2002年からの10年間の通常国会で、政府提出法案の成立率は平均85%だったが、今年は60%程度まで落ち込んだ。

 解決策として有力なのは「両院協議会」の改革だ。

 衆参で法案の議決が異なった場合に開け、現在は衆参10人ずつが委員となる。衆院側の委員数を増やし、衆院の優越を担保すれば良い。最近、超党派の議員たちは「国会改革をもう一度呼びかけよう」と連絡を取り始めた。

「衆院が解散して自民党が与党になったら、改革のチャンスはなくなる。今回が本当の意味でのラストチャンスだ」(メンバーの一人)

週刊朝日 2012年11月16日号