今岡誠氏 (c)朝日新聞社 @@写禁
今岡誠氏 (c)朝日新聞社 @@写禁

 今季はプロ野球の大物選手たちが引退を決めたシーズンでもあった。城島健司、金本知憲、小久保裕紀、石井琢朗、田口壮…。そして、ロッテの今岡誠もその一人だ。2軍打撃守備コーチも兼任しながら、9月に現役引退を発表したが、「太く、短かった」というこれまでの野球人生と次なる目標を語った。

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 今年は千葉ロッテマリーンズの選手兼コーチとして在籍していましたが、どうすれば若い選手に変化のきっかけを与えられるか、そればかりを考えて過ごした1年でした。

 人間ってすごいんですよ。上手にやる気を引き出してあげると、若い選手は劇的に変わるんです。一言で変わった選手もいました。今年はそんな経験がたくさんできて、指導者としてのやりがいを感じることができました。

 僕の人生を変えたのも、2002年2月のオープン戦での一打席なんです。

 それまでの3年間、「今岡は使えない」と言われ続け、正直、クビを覚悟してました。それが星野仙一さんが阪神の監督になって、チャンスを与えてくれた。同点で迎えた9回裏に打席が回ってきて、そこでサヨナラヒットを打った。オープン戦なのに、二塁までガッツポーズしながら走ったことを今でも覚えています。それがきっかけで公式戦でも打ちまくって、はじめて3割を打ちました。あの一打席で「プロでやれる」と思えたんです。

 阪神時代は2度のリーグ優勝を経験できました。ロッテでは、友人であり、野球人として尊敬している井口資仁選手と一緒に、2010年には日本一になりました。どれもいい思い出です。

 来年からは評論家として活動します。ただ、僕の目標は、何年後になるかはわかりませんが、阪神の監督になること。これまでの野球人生も、これからの活動も、この夢の実現につなげていきたいです。

週刊朝日 2012年11月9日号