東京都墨田区押上の下町が、いま大騒ぎになっている。その理由はほかでもない、週刊朝日が先週号で報じた山口シヅエ元衆議院議員の訃報(ふほう)である。

 女性初の国会議員の一人として当選13回、「下町の太陽」と呼ばれた山口氏が4月3日、94歳で亡くなっていた。ところが、元秘書で身辺を取り仕切るO氏(62)が死の“隠蔽”を画策。埋葬も行わず、遺骨が置かれた押上の自宅に生前からのホームヘルパーが死後半年以上たった現在も通い続けるという、ただならぬ事態となっているのだ。

 週刊朝日は今回、新たに都内に住む山口氏の父方のいとこの男性B氏(75)から話を聞いた。B氏が語る。

「記事を見て驚きました。10月初旬に突然、税務署から相続税の問い合わせの書類が来た。わけがわからずO氏側に連絡を取ろうとしても電話がつながらず、困っていたんです」

 O氏は親族にも死を伝えず、品川区の桐ケ谷斎場で行われた密葬にも呼ばなかった。死亡届も、O氏がB氏の名前を使って提出しており、週刊朝日には「生前に(B氏の)許可を得ていた」と弁明していた。が、これについてB氏は、「そんな話は聞いてない」と完全否定するのだ。1970年代に山口氏の秘書を務めた男性(82)はこう語る。

「最近はO氏が会社を乗っ取ったような状態で、心配していたんです。先生は5、6年前まで昔の秘書仲間を集めて誕生会をやっていたが、車椅子になりO氏が身辺を取り仕切るようになると、昔からの従業員は辞めさせられ、秘書たちも遠ざけられた。財産の寄付は私も相談されていたが、立ち消えになってしまった」

 週刊朝日は再三、O氏に再取材を試みたが、事務所は「いない」と応じず、携帯電話もつながらなかった。先のB氏が憤る。

「せめてきちんとお葬式をして遺骨を家族の墓に埋葬したいのに、記事が出た後もO氏とまったく連絡がとれない。刑事告訴の可能性も含め、弁護士と相談するつもりです」

週刊朝日 2012年11月9日号