石原慎太郎氏(80)が10月25日、東京都知事を辞職して新党を結成し、「日本維新の会」と連携するといきなりぶち上げた。しかし、翌日には早くも、新党の母体となるはずの「たちあがれ日本」との不協和音などが露呈した。

 そもそも、ロクな根回しもしないまま、このタイミングで石原氏が都知事の仕事を投げ出し、新党設立へ急ハンドルを切ったのはなぜなのか。石原氏と旧知の自民党都議はこう明かす。

「慎太郎さんは、自民党都議団に嫌気がさして辞めたんでしょう。実は東京の自民党のボスは今でも、前都議で自民党東京都連幹部のAさんなんです。都連会長の伸晃さん(55)が『バッジをつけていない人がデカい顔をしている』とAさんを役職から外そうとし、それ以降、慎太郎さんと自民党都議団との関係も悪化しました。そのため9月の総裁選で自民党都議団は伸晃さんを応援しなかった。あのプライドの高い慎太郎さんが、Aさんに詫びを入れましたが、そのかいもありませんでした。息子を首相にするという夢が消え、尖閣諸島問題でも国に先を越され、プッツンしたんだと思います」

 都知事として最後となった26日の会見でも、石原氏は都政のことには一言も触れないまま、「用事があるから失敬する」と席を立った。そして、都内で行われた映画の舞台挨拶にサプライズで登場し、こう語った。

「(国政が)終わったら映画を撮ります。90歳を過ぎても絶対にやる」

 案外、映画撮影が先になるかもしれない。

週刊朝日 2012年11月9日号