料理を作るときや買い物に行くときに、ちょっと工夫をすることでボケを遠ざけることができる。北原ライフサポートクリニックの菅原道仁(すがわら・みちひと)医師は「普段の生活であえて『面倒』を選ぶボケ防止」を提言する。

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 昨日は何を食べましたか? とっさに答えられない人が多いのではないでしょうか。まずは前日食べたものを「書き出す」ことからボケ対策をスタートさせましょう。

 書くことで、昨日は肉だったから今日のメーンは魚に、旬の野菜をもっと取り入れよう、などとアイデアが浮かびやすくなり、ダイエットにもつながります。

 テレビの料理番組を見ることも脳を刺激します。ただ眺めるだけでなく、レシピを書き取って。目や耳の神経を集中させる訓練になります。料理手帳を作って、新聞の料理記事を写してもいいですね。ただ切り貼りするのではなく「書く」のが大事。若年性認知症の治療にも使われていますが、文章を読んで字を書くのは効果的な脳トレなのです。

 おいしそう、と興味を持ったら即行動です。買い物に行きましょう。近頃は電話一本で食材を宅配してくれるサービスがありますが、楽をしてはダメ。自分でスーパーに行って品物を見て、買ってほしい。特売の食材を求め、一軒先の店に行けば運動にもなります。

 脳の老化が進むと計算力が衰えるので、買い物しながら暗算をしてみましょう。例えば千円までと予算を決め、だいたいの値段を暗算してレジで答え合わせをします。ピッタリでなくても上3桁が合えばOK。繰り返すうちに正解率もぐっと上がってきます。

週刊朝日 2012年11月2日号