今年4月に息を引き取っていた山口シヅエ元衆議院議員。女性初の国会議員で、「タレント議員」の走りと言える存在だった。が、訃報はどこにも見当たらず、地元・墨田区押上の商店街でも、その死はまったく知られていない。内情を知る関係者のA氏によると、山口氏が所有する貸しビル会社「山口シヅエガーデン」の取締役で元秘書のO氏(62)が、死亡後もヘルパーを派遣させたり、死亡届にいとこの名前を使用して提出するなど、“隠蔽工作”と思われてもおかしくない不可解な行動を取っているという。

 周辺を調べると山口氏が所有する貸しビル会社「山口シヅエガーデン」の商業登記簿の記載におかしな点があることがわかった。

 山口氏は、4月3日に死去しているのに、5月28日にこれまで務めていた代表取締役の重任が決まり、6月29日に登記されている。死者が代表を務める会社が存在していいものなのか。5月28日には、O氏の親族とみられる男性も新たに取締役に就いた。

 この謎を解明するべく、週刊朝日はO氏を電話で直撃した。O氏は山口氏の死を認めた上で、「隠蔽」を否定した。

「密葬にしたのは、すべて山口先生のご遺志です。周囲に迷惑をかけたくないとのご意向で、公表を控えていました。社長職についても、ずっと生まれ育った押上で暮らしたいという先生の希望があり、名前だけを残しています」

 ヘルパー派遣を続けていることや、死亡届の不自然さなどを指摘すると、

「それも先生から言われていたことです。先生は親族とは絶縁状態にあり、私が生前にいとこに会って名前を使う許可を得ていました。いとこは、葬儀にはお見えになっていません。また、先生は神道ですので、死んだ後に祭壇にお神酒をあげたりといった作業を、生前に親しかったヘルパーにお願いしていました。生前はヘルパーは10人ほどいましたが、今は本当に親しかった3人で回しております。お金はこちらからお願いしているわけですから、問題はありません」

週刊朝日 2012年11月2日号