作家・室井佑月氏は、テスト前日にゲームで遊び、翌日も寝てしまって勉強できなかった息子に「なんで起こしてくれなかったんだよ。あんた、俺に対して最近、冷たかないか?」と聞かれ、今の総理大臣、政権与党に対する民意と一緒で「もう怒るのに疲れた」と答えたという。

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 10月14日、民主党の細野豪志政調会長がテレビに出て、東日本大震災の復興予算が被災地以外の事業にガンガン使われていることに対し、「これからは被災地以外には予算を使わないという方向性を明確にすべき。当初は被災地に限定する考えで法律を出したが、自民党の意見で日本全体に(予算を)つけようと判断した」と語った。はあ? なにいってんのこの人。政権与党の議員のくせに。

「全体としては間違ってなかったと思う。被災地以外は落ち着きを取り戻しており、変えていい」だってさ、偉そうに。うちの息子と同レベルだな。結局、この人、復興予算の使われ方が酷いと指摘され、「だよな。これからはちゃんとやるわ」っていったんでしょ。いや、うちの子より酷い。うちはゲーム機のせいにしなかった(細野は他党のせいにした)。うちは自分が悪かったと思ってる(細野は間違っていないと言い張る)。

 しかも、うちはどんな結果が待っていようと、ちゃんとテストは行ったしな。この人たちは、この問題の審議をしていた11日の衆院決算行政監視委員会の小委員会を、ボイコットした。

 お~い、息子よ。あんた、民主党よりマシみたいだ。そういったら、「嫌味かよ。それ、ぜんぜん慰めにならないから」と怒鳴られた。

週刊朝日 2012年11月2日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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