楽天・星野監督 (c)朝日新聞社@@写禁
楽天・星野監督 (c)朝日新聞社@@写禁

 田淵ヘッド解任というニュースが発表されたのは10月8日のことだった。

 田淵幸一氏(66)と言えば、楽天の星野仙一監督(65)が明治大学のエースだった東京六大学リーグ時代から、大学こそ違うものの同学年で仲が良く、“盟友”とされた間柄。星野氏が阪神を率いたときも、北京五輪で日本代表の監督を務めたときも、同じユニホームを着て仕えた“側近”でもある。

 だが、星野氏率いる楽天は2年続けてAクラス入りを逃した。監督続投なら、誰かが責任をとってユニホームを脱ぐのは球界の常。ヘッドコーチというポストは、そういうときのためにある、とまで言われている。つまり、田淵ヘッドの解任はけっして不自然な人事ではない。しかし、だ。

「チームが優勝争いから早々に脱落し、夏ごろから『田淵さんが辞める』いう話は耳にしていました。ただ、その時点では『田淵さんはユニホームは脱ぐけど、フロント入りして球団に残る』と言われていた。さすが星野監督、親友に詰め腹を切らせることにならないように動いているんだな、と思っていた。だけど、そうではなかった」(スポーツ紙デスク)

 これは、球団内で星野監督の“力”が落ちている、ということに他ならない。中日での現役時代から「男」「闘将」というイメージの星野氏は、面倒見のいい上司としても有名で、引退した選手が評論家になると「あれは星野さんのプッシュがあったから」と囁かれる例は枚挙にいとまがないほど。

「そんな星野さんが学生時代からの親友を守れなかった。『田淵を切るのなら俺も辞める』と言ってほしかったし、かつてならそう言っただろう彼が、自分だけ生き残ってユニホームを着続ける…」(ベテラン記者)

 かつての“男”星野も、楽天にしがみつくしかないということなのか。

週刊朝日 2012年10月26日号