30年にわたり外来診療で認知症を診てきた金子クリニック院長の金子満雄医師は、長年の臨床試験から「ボケる人には特徴がある」とわかったという。

*  *  *

 ボケる人の特徴に、創意工夫が苦手という特徴もあります。発見したり、発明したり企画を立てるのが得意な人は前頭前野を活動させますが、想起力を使わない生活を続けていると、脳が衰えていってしまいます。

 すべての職業にいえますが、定年で悠々自適、がいちばん危ない。念願の「のんびり生活」を果たしても、書かず話さず動かずでは短期間でボケてしまう。

 でも趣味を持っていれば、趣味を通じた仲間ができ、関係も長続きします。趣味にもボケやすい、ボケにくいものがあり、一人で黙々とする釣りや盆栽よりは、仲間と競える囲碁や将棋、麻雀、トランプや花札がいい。囲碁や将棋は何年か続けて初段、二段へと進むと本当のおもしろさがわかってやめにくくなりますよ。5年、10年と続けられる趣味をぜひ持ちたいものです。

週刊朝日 2012年10月26日号