「腰痛持ちになって一人前」が介護の質低下招く 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「腰痛持ちになって一人前」が介護の質低下招く

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 総人口の約4分の1が65歳以上という時代になった。自分がいざ介護状態になったときに、頼れるものの一つが「高齢者ホーム」だ。ホーム選びで失敗しないためにどんな点に気をつければいいのだろうか。

 施設を選ぶときに着目したい点のひとつが、介護現場で働く人たちの心身の健康だ。滋賀医科大学社会医学講座衛生学部門の垰田(たおだ)和史准教授の研究グループが介護従事者を対象に2005年10月に実施した全国調査(402事業所)で、次のような結果が出た。有効回答者4685人(うち女性4262人)のうち、約8割が就労後に腰痛を経験したと答えたのだ。垰田准教授はこう話す。

「日本では、人の手で介護することが人間的で、その期待に応えることがプロであるという介護・看護側の意識など、いわゆる日本的価値観が現場には根強いと思います。介護や看護など人間相手の仕事は、労働環境の改善がどうしても遅れる傾向にあるのです」

 現場では「腰痛持ちになって一人前」といった考え方が支配的で、ケアの質の低下を招いているという。

 だが、「持ち上げない看護、抱え上げない介護」というノーリフティングポリシーの普及に努める日本ノーリフト協会代表の保田淳子さんはこう強調する。

「介護士や看護師らは、みんな実態を知らないだけ、あるいは言いだせないだけです。私たちが現場にリフトを導入するときには、まず職員にアンケートを実施します。すると、どの現場でも『腰痛を抱えている』『転倒、転落の危険を感じたことがある』と大半の人が答えます」

 持ち上げる、抱え上げることによる事故の可能性も介護士らの離職の引き金になっている。

週刊朝日 2012年10月19日号


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