朝日新聞社の世論調査で次期衆院選の比例区での投票先を聞いたところ、2009年衆院選の直前には40%を占めた民主党が、今年10月1、2日の調査では17%になっている。その不人気ぶりは本人たちも十分理解しているようだ。政治評論家の森田実氏(以下、森田)が時事通信社解説委員の田崎史郎氏(以下、田崎)との対談で民主党の内情を明かす。

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田崎:政党のPR合戦という意味では、自民党総裁選の圧勝でした。テレビでも、総裁選を取り上げれば視聴率は上がり、民主党代表選を取り上げると下がるという状況だった。両党首選の直後に行われた日経新聞の世論調査でも、政党支持率で民主党は2ポイント下げて19%でしたが、自民党は37%と12ポイントも上げました。党役員人事も、自民党は安倍総裁と石破幹事長がタッグを組み、小泉進次郎青年局長を留任させて、「3枚看板」にしました。安倍さんだけでは前回の政権投げ出しの印象が残りますが、3枚看板ならそのマイナスを分散させることができる。総選挙を戦う「顔」としても、代わり映えしない野田首相より優勢だと思います。

森田:ある関西の民主党議員からもらった名刺を見ると、どこにも「民主党」という文字が入っていない。今や多くの民主党議員が名刺に党名を入れないか、入れても小さく印字してあるだけだと言うんです。それほど民主党に対する国民のアレルギーは高まっていて、そのことを当の議員たちも分かっている。一方の自民党は、集会には人がどんどん集まるし、カンパも増えている。右傾化の波にうまく乗りましたね。

週刊朝日 2012年10月19日号