「持病は、2年前に新薬が登場して克服できた。今は心身ともに健康です!」

 総裁選で何度もそう繰り返し、返り咲いた安倍晋三元首相(58)。あれから5年――ポスト野田の最右翼に躍り出た安倍氏は、人として、政治家として成長したのか。

 周辺議員らの話を総合すると、どうやら一回りも二回りも人間が大きくなった、という。

 しかし一方で、いまだに解消できない不安要素もあるようだ。側近議員の一人がこう漏らす。「安倍さんには、小泉純一郎元首相(70)の政務秘書官を務めた飯島勲さんのような『番頭役』の大物秘書がいません。前回は、ノンキャリ官僚の井上義行さんを政務秘書官に起用したところ、安倍事務所が安倍さんの日程を聞いても、井上さんは記者発表と同じものしか伝えないなど独断専行でした。でも、周辺が彼を切るように進言しても、安倍さんはできなかった。優秀な秘書がいないのは、安倍さんの責任です」。

 さらには、こんな懸念の声も聞こえてくる。「潰瘍性大腸炎を患っている人には、ストレスがいちばんよくないと言われている。安倍さんはこの5年間、気楽な立場で、ゴルフをやり、好きなことを言ってストレスをためない生活をしてきた。体調が悪化するわけがない。首相になって野党から攻められたら、またおなかが痛くなるんじゃないか」(三役経験者)。

 そればっかりは、そのときになってみないと、ご本人にもわからないだろう。

週刊朝日 2012年10月12日号