チャンピックス (c)朝日新聞社
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チャンピックス (c)朝日新聞社
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 週刊朝日は、9月28日号で、ファイザーの禁煙補助薬「チャンピックス」の服用者が自殺したことをスクープした。この薬は、自殺念慮や意識障害など、副作用と疑われる重篤な症例が国内外で報告されている一方で、禁煙薬としては絶大な人気だ。その人気薬が、NHKの生活情報番組「ためしてガッテン」でも紹介されていた。2011年10月26日放送の「感動!禁煙がこんなに超簡単だなんて!SP」だ。

 チャンピックスを飲んで禁煙に成功した男性のリポートが流れ、司会の立川志の輔が「画期的」と絶賛。一方、副作用についても体験者のインタビューが紹介され、意識障害の可能性についても触れていた。

 NHKはその後、別の番組でもチャンピックスを取り上げている。今年5月21日に放送された、45年の歴史を誇る長寿番組「きょうの健康」だ。

「禁煙 今度こそやりとげる 脱ニコチン薬が手助け」をテーマに、ニコチンガム、ニコチンパッチ、そしてバレニクリン(チャンピックス)を紹介。説明したのは、日本禁煙科学会理事長で京都大医学部付属病院禁煙外来の高橋裕子医師で、「ためしてガッテン」のVTRにも出演している。

 番組では3種の薬をバランスよく紹介していたが、気になったのは、副作用が説明される場面で、バレニクリンについては「吐き気」「頭痛」「眠気」の三つだけで、重篤な症例については触れられなかったことだ。

 番組に登場していた高橋医師は週刊朝日の取材にこう答えた。

〈「ためしてガッテン」では番組担当者が当方の禁煙外来を取材に来て、副作用についても詳しく伝えています。ですが得た情報をどのように放映するかについては相談はありませんでした。「きょうの健康」では、当日の打ち合わせでバレニクリンの詳細な副作用情報を伝えることを打診しましたが、頻度の多い主な副作用を3つとのご指示でした〉

 両番組とも視聴者を多数抱える人気番組だ。であればなおのこと、念には念を入れた番組づくりがなされてもよかったのではないだろうか。

※週刊朝日 2012年10月5日号