9月21日に民主党代表選、26日に自民党総裁選と、二つの政党の党首が決まる。作家の室井佑月氏は、昨今、報じられるニュースが世の中の判断を間違った方向に向かわせていると感じでいる。

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 このところニュースは、民主党の代表選や、自民党の総裁選のことばかりだ。あたしの場合、次の総選挙では民主党にも自民党にも入れるつもりがないので、このニュースはつまらない。

 原発事故や景気対策の対応で、民主は駄目だとジャッジを下した人は多い。それはわかる。

 その人々は、次の総選挙で、「じゃあ、自民」。そうジャッジを下すのであろうか。

 テレビや新聞のニュースを見ていると、「自民党の総裁選で、次のこの国の総理が決まるわけだから」と当たり前のように語られている。

 えっ、マジで? 消費税増税、原発推進、今、国民の大多数が怒っていることを進めてきたのは自民党じゃん。民主が駄目なら自民、とほんとうになるのかい? なるんだとしたら、びっくりだ。

 へぇそうなんだ、と国民の意識が変わってゆくのを狙っているのか。

 あたし自身、変わったもんな。「えっ、マジで?」と驚いて、話の流れを止めるなんてことはなくなった。よくわかんないんだけど、そういうことになっているのね……モジモジって感じ。

 ま、野田さんから野田さんになりそうな民主党の代表選より、自民党の総裁選のほうが面白いのは事実。今の顔(谷垣さん)が降ろされたのもドラマだし。

 そうよ! ニュースじゃないのよ。ドラマと思っていれば、観たくないならチャンネルを変えればいいだけ。やっと気づいた。

※週刊朝日 2012年9月28日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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