禁煙薬「意識障害」の副作用も 米パイロットは使用不可 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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禁煙薬「意識障害」の副作用も 米パイロットは使用不可

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 たばこを吸わない人にはなじみが薄いだろうが、ファイザーが販売するチャンピックスは、いまや全世界での年間売り上げが約7億2千万ドル(約560億円、2011年)に及ぶ人気の禁煙補助薬だ。2006年に米国で販売が始まり、翌07年末までに世界60カ国で承認を受けている。国内での累計服用者数は約120万人にものぼる。
 しかし、チャンピックスの副作用の一つ「意識障害」に絡んで、惨事につながりかねない事故が実は起きている。
 厚生労働省は、チャンピックス服用後に起きた「運転中の意識障害」が、2011年9月までに少なくとも12件あったと公表している。60代の男性は、服用から約20分後の運転中に、よだれが口から流れ、全身が震え、意識が飛んだ。気がついたら、道路の側溝に車のタイヤが落ちていたという。
 こんなことが公共交通機関で起きたら、大惨事は免れまい。米国では、米連邦航空局(FAA)や全米トラック協会が、パイロットや運転手に対してチャンピックスの服用を禁止している。
 日本はどうか。旅客を扱う主なところに、指導や規制の有無をたずねた。
 まずは航空業界。「FAAに準じて、国土交通省からチャンピックス禁止の通達が出ている。業務前の健康チェックで服用が認められた場合は業務につかせない」(JAL)と、副作用に対する周知がなされている様子だ。しかし、他の交通機関では、「指導はしておらず、規制もいまのところ考えていない」(JR西日本)「眠気を誘うなどの薬に関しては、業務前に使用しないよう局内で呼びかけている」(東京都交通局)などと、現時点ではチャンピックス向けの対策は立てられていない。
 ただ中には、チャンピックスの存在すら知らない広報担当者もいた。
 「運転中の意識障害」については、マスコミも報じており、ファイザーの禁煙手帳などでも〈自動車の運転など危険を伴う機械の操作はしないでください〉と注意喚起している。その結果が、この認知度だ。他人の命を預かる手前、万が一を想定した対策を講じても無駄にはならないだろう。

※週刊朝日 2012年9月28日号


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