日本と中国でその領有権を巡って揉めている尖閣諸島。9月14日、中国の海洋監視船6隻が日本の領海に侵入した。日本政府は、尖閣諸島について「解決すべき領有権問題はない」という立場だが、我々は今どうするべきか? ニュースキャスターの辛坊治郎氏の持論はこうだ。

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 幸い現代は、インターネットなど中国国民に直接情報を流す手段はいくらでもある。日本はあらゆるチャンネルを使い中国国民に対して、共産党政権自体が1960年代まで、尖閣諸島を中国領土と認識していなかったという事実を、繰り返し粘り強く語りかけるべきだろう。
 日本は竹島を巡って、国際司法裁判所への提訴を決めた。これは逆に尖閣について中国に提訴される可能性を意味する。日本政府としては「争いなく日本が実効支配している」という建前だから、たとえ中国が訴えても裁判に応じることはないだろう。しかし現在のように、日本領土でありながら、日本人の立ち入りさえ禁止され、観光開発も資源開発もできないでいる状況を未来永劫(えいごう)続けるのは得策ではない。
 私は、中国が提訴した場合には、堂々と応じればいいと思う。この裁判で中国に勝ち目はない。だからこそ、中国が提訴することはありえないのだが、尖閣を巡って中国でコントロール不可能なほどの混乱が起きれば、中国政府は国内世論沈静化のために「出るところに出る」判断をする可能性も生まれる。それは日本にとって、平和裏に問題を着地させる好機になるだろう。
 尖閣に日本政府が人員を配置した時に何が起きるかをシミュレートすると、確かに短期的な混乱リスクを覚悟する必要は生じる。しかし、ほんの少し長い目で見ると、中国国内で起きるかも知れない騒動とその行方を含めて、得られる果実は大きいと思う。

※週刊朝日 2012年9月28日号