いじめ問題の解決が見えないまま、子どもたちの新学期が再び始まった。「いじめ」が起こったとき、親はまずどうすればいいのか? 1998年に一人娘をいじめによる自殺で亡くし、現在はいじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事を務める小森美登里さんに聞いた。

 子どもがいじめに遭ったとき、PTAなど他の保護者の助けを借りるのはどうか。親同士連帯すれば、という気もするが、小森さんはこんな意見だ。

「本当はそうあるべきですが……。実際は『やられた側にもいろいろ問題があるらしい』など、被害者に責任があるかのようなウワサ話が回ってしまうことも多く、残念ながら解決につなげるのは難しいのが現状です」

 確かに、大津事件でも加害少年の親が他の保護者に対し、被害者の家庭環境が自殺の原因かのような主張をした。大人の世界も、各自の事情が絡み合っているのが現実だ。

 もちろん、いじめ被害者の置かれた状況は千差万別であり、どんな手法を駆使しても、どうにもならない場合もあるだろう。

「そもそも、学校側に問題解決能力があるかどうかをまず見極めるべきです。調査をしても、当事者に直接聞いて否定されたから終わり、というような学校に期待するのは難しい。子どもに学校を休ませるなど、当面の安全を確保すると同時に、加害者への対応を考えなければなりません」

 ちなみに、「いじめがあったか」と聞かれたら加害者が否定するのは当然だが、被害者も「なかった」と答えるのが普通だそうだ。だから、当事者でなく周囲の人間に確認しなければならない。こういう基本的な対応もできないようなら、学校の問題解決能力はかなり疑わしい。

※週刊朝日 2012年9月14日号