この親にしてこの子あり、である。清宮克幸さん(45)は、ラグビー界のカリスマ監督。長男の幸太郎君(13)は、野球界の逸材なのだ。

 幸太郎君は8月26日、米国で開催されたリトルリーグ世界選手権で、日本代表の「東京北砂リトルリーグ」を優勝に導いたエース兼主砲。打率6割6分7厘、3本塁打を記録し、大会史上最長の94メートルの特大弾を放った。投げては最速127キロをマークした。現地で「ジャパニーズ・ベーブ・ルース」と人気を博した。

 歓喜の世界一から3日後の東京・新宿の自宅。「スターになっちゃったな」と父が声をかければ、幸太郎君は日焼けした顔をほころばす。迫力ある眼力が親子そっくりだ。

 早稲田実業中学の1年生にして、ナント183センチ、93キロ。足のサイズが父より2センチ大きな30センチ! 「ケツも足の太さも僕の現役時代を超えている」と父は目尻を下げる。幸世夫人が栄養のバランスを心がけ、特にたんぱく質を十分に取らせてきた。小5からはプロテインも飲んでいるという。

 父は早大でラグビー日本一、サントリーでも活躍した。引退後、早大を率い、5年間で3度の大学王座。サントリー監督を経て、昨年からヤマハ発動機を指揮している。

 幸太郎君は4歳でラグビーを始めたが、小4の終わりにリトルリーグに入った。週末には朝7時から夜まで野球をやった後、自宅でスイングを延々とするという。「野球もラグビーも好き」というが、夢は「大リーガー」と言い切る。

 ラグビーもやってほしい気もするが、

「期待のかけ過ぎは親のエゴ。自分が好きなことをやればいい。一つひとつ、進めばいい」(克幸さん)

※週刊朝日 2012年9月14日号