教育界の腐敗も、いよいよ来るところまで来たとしか言いようがない。週刊朝日は先週号(9月7日号)で、東京都清瀬市の私立小中高一貫校に通っていたA君(13)の「いじめ問題」を報じたが、実はこの学校では、もう一つの「いじめ」があった。そこでは、学校側の唖然(あぜん)とする対応が明らかになった。

 今年3月まで同中学に通っていた男子高校生B君(15)は、同級生にいじめられたとして8月14日、警視庁東村山署に暴行容疑で被害届を出した。

 新聞各紙が報じたその内容は、B君が中学3年生だった昨年10月、体育祭で同級生の一人から首を絞められるなどの暴行を受けたというもの。B君が首を絞められている現場を別の生徒が目撃しており、学校側も事実を認めているという。

 また、この件以外にも、机に「死」という文字を彫られたり、トイレで下級生に暴力をふるわれるなど、日常的にいじめを受けていたようだ。これだけでも過酷な状況だが、学校側はその後、信じがたい行動に出た。

 今年2月ごろ、いじめ被害を訴え続けていたB君の母親は、学校側から、高校に進級させる条件として、〈学校で起こった問題について、警察などに相談しない〉という趣旨の文面が入った文書を渡されたというのだ。事実上の"口止め"工作である。進級という、子どもの人生を左右する問題を盾にしてまで、いじめを隠蔽しようとする。これほど卑劣な話があるのか。

 一昔前は「内申書」が同じように使われることがあったが、親や生徒の弱みを突く行為は、言うまでもなく教育機関の禁じ手である。母親は週刊朝日の取材に対し、「報道された以上のことは、今は何も話すことができません」とだけ答えた。心を病んだB君は症状が悪化し、今は入院しているという。

※週刊朝日 2012年9月14日号