自民党政権下の2008年から、内閣官房に設置された国家公務員制度改革推進本部で、脱官僚主義などに取り組んできた元経産官僚の古賀茂明氏。天下り根絶という公約を実現できない民主党に憤り、こんな持論を展開する。

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 実際、09年10月には元大蔵(財務)事務次官の斎藤次郎氏が日本郵政社長に、その下の副社長には主計局出身で日本損害保険協会の副会長に天下っていた坂篤郎氏が就いた。さらに、損保協会副会長の後任には牧野治郎・元国税庁長官が充てられ、財務官僚による天下りの芋づる式人事が認められた。このとき、民主党は、「官僚OBが斡旋(あっせん)をするのは天下りではない」と強弁した。民主党の公約は、政権交代から2カ月ももたなかったのだ。

 民主党は翌10年の夏には、さらにひどいことをやった。天下りをなくすため、独立行政法人の役員は公募することになっていたのに、官僚の現役出向なら構わないという「退職管理基本方針」を出したのだ。

 あわせて民間企業への現役出向や、それまで対象外であり、天下り適齢期でもある部長級の幹部職員の出向も認めた。

 国土交通省の幹部官僚がゼネコンに出向すると聞けば、誰もがとんでもないと思うだろう。ところが、民主党は現役出向の名の下にこれを認めたのだ。

 私は本来、国家公務員の定年は40歳にすればいいと思っている。40歳までに1回リセットし、最低5年は民間で実績を積んでもらい、必要な人材はその後に再び役所に戻り、課長などの管理職に就けばいい。

※週刊朝日 2012年9月7日号