官房長官時代に「平成」という元号を発表し、「平成おじさん」として親しまれた小渕恵三元首相。在任中に脳梗塞で倒れ、志半ばで帰らぬ人となった。首相になったとき、米有力紙に「冷めたピザほどの魅力しかない」と揶揄されもしたが、デザイナーやイラストレーターとして活動している長女の暁子さんが、在りし日の父親と政治家となった妹・優子氏についてこう語ってくれた。

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 首相就任当初、父は「冷めたピザ」とかいろいろ言われましたが、外で待っている記者さんに温かいピザを出すなど、ユーモアを交えて明るく振る舞っていました。その半面、自分への批評は気にしていたようです。

 自分の後継者については、はっきり誰とは言いませんでした。弟のことは「ボウズ」と呼んでいましたが、「ボウズは一途な性格だから、政治家をやるにはマジメすぎるかな」と言っていました。妹の優子のことは英国のサッチャー元首相にちなんで「エッチャー」と呼び、とても可愛がっていましたが、「女の子に政治家はかわいそうかな」と漏らしていましたね。

 妹は政治家として立派な跡継ぎになりました。少し前に話したとき、「いまもし父のそばにいられたら、私は優秀な秘書になれると思う。父の苦労が身にしみてわかるから」と言っていました。優しく、たくましい女性に成長したと思います。

※週刊朝日 2012年8月31日号