経営コンサルタントの先駆けであり経済界随一の論客としても知られるドリームインキュベータ会長の堀紘一氏。経営者として独立するまでの半生は、あちこちの企業から就職を勧誘され続けた引っぼりだこのモテモテ人生だったそう。作家・林真理子さんとの対談では、成功者ならではの金銭感覚を披露し、林さんを絶句させた。

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林:ここ(東京・霞が関のドリームインキュベータ本社)、すごいオフィスですね。日本の企業コンサルティングの中心に来たという感じですよ。秘書の方はモデルさんみたいにきれいでスタイルがいいし。

堀:ここは親会社で、上海とホーチミンとシンガポールにも会社があります。コンサルタントって日本人の常識から言えば大きなお金が取れるイメージみたいだけど、インベストバンカー(投資銀行マン)に比べるとケタが違いますよ。コンサルタントの年収はせいぜい2億か3億。インベストバンカーの年収は30億とか40億とかですからね。

林:ひぇ~!

堀:会社に入らないでプロフェッショナルとして稼げる商売は、世界的に見てインベストバンカーが一ケタ大きいです。僕もハーバードを卒業する際にずいぶん勧誘されました。

林:なんで行かなかったんですか。

堀:これを言うと嫌われちゃうけど、お金って10億あったら十分なんですよ。100億も千億も持っていても使い道がないのよ。

林:うっ……(笑)。堀さんって、東大卒、ハーバード・ビジネススクールに留学してMBAを取得、ボストン・コンサルティング日本代表という経歴を開くだけで、知能も頭脳もふつうの人とはかけ離れたすごい人と思ってしまいます。

※週刊朝日 2012年8月31日号