みんなの党など少数野党7党は8月3日、消費増税法案の採決前に不信任案を提出することで合意した。

 与野党がこんな「不信任ゲーム」に熱中する一方で、ひそかに注視していたのが、7月29日投開票の山口県知事選だ。橋下徹大阪市長(43)のブレーンだった脱原発派の論客、飯田哲也・環境NPO代表(53)が何票取るかが焦点だった。

 その理由は二つある。原発再稼動に反対して国会周辺で行われているデモの潮流が、どう票に反映されるか。「大阪維新の会」ブランドが関西圏以外でどれぐらい通用するか。今後の国政選挙を占う上で、「リトマス試験紙」になるからだ。自民党の閣僚経験者が話す。

「反原発の官邸包囲デモが盛り上がっていると聞いたから、金曜日に地元に帰るのを見合わせて議員会館の自室から見ていたら、途切れることなく人が次々と現れた。知事選にあの雰囲気が持ち込まれたら正直きついなと思っていた」

 結果は、自公が推薦した元国土交通審議官の山本繁太郎氏(63)が25万票余りを獲得し初当選。民主は候補者を立てることすらできず、飯田氏は準備不足ながら18万5千票を集めた。

 さらに今回の知事選で象徴的だったのが、民主党の支援団体である連合のうち、いくつかの産別が、「野田政権が進めている原発再稼働やオスプレイ配備にはとても賛同できない」と、飯田氏支援に回ったことだ。

 連合のある幹部も、「山口に限らず、地方組織のいくつかから、『今の民主党とはやってられない』という声が上がってきています。国政選挙でも、今までどおり一枚岩で民主党をやるかどうかわからない」と認める。

※週刊朝日 2012年8月17・24日号