東京五輪以降、すべての夏季大会を現地観戦し、今年もロンドン五輪へ応援にかけつけたオリンピックおじさんこと山田直稔氏。応援人生の集大成として臨んだロンドン五輪で、山田氏が目の当たりにした日本の金メダルは、残念ながら一つだけだった。そんな山田氏は柔道界に足りないものを指摘した。

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 日本の柔道男子は残念だったねえ。東京五輪で正式競技に採用されてから、初めての金メダルなし。エラいことですよ。偉大な先輩方が鍛錬を重ね、重圧に打ち勝って、「日本のお家芸」を守ってきた。それが……。柔道の最終日なんか、少し遅れて会場に着いたら、すでに100キロ超級の上川大樹さんが負けててさあ、もうガックリきちゃったよー。

 世界のレベルが上がってきただの、世界ランキング制の導入で国内外の試合に追われただの、低迷の理由が言われてるけど、私は結局、日本人の育ちが甘くなったからだと思うよ。戦後教育の大きな問題だよ。その甘さが柔道という競技に出てきてるんじゃないかな。「心技体」の「心」が完全に欠落してるんだよっ。執念がない。ここから何とか立て直してもらわないとな。

※週刊朝日 2012年8月17・24日号