7月24日朝(日本時間)に突如飛び込んできたニュースに誰もが驚いたであろう。大リーグ・マリナーズのイチロー外野手(38)=本名・鈴木一朗、ヤンキースへ電撃移籍の知らせだ。

 昨季大リーグで初めて200安打に届かず、5年契約最終年の今季は3番を任されたが、結果は期待外れで打順は1番、2番と流浪した。動体視力の衰えもささやかれ、チームで居場所を失った感があった。地元メディアも批判的な意見が強まり、ウエッジ監督も、

「やる気のないベテランはいらない」と名指しで批判した。7月中旬には、マリナーズの有力OBがラジオのインタビューで、「イチローがマリナーズと再契約したら、へドが出る」と放言した。

 移籍会見では、

「20代前半の選手が多いこのチームの未来に来年以降、僕がいるべきではない」

 とトレード志願したことを明らかにしたが、現実的にはもう、自分が出ていくしかなかった。

 イチローはマリナーズとの契約を更新した07年のシーズン後、共同通信のインタビューで、すでにこんな言葉を残していた。

「そのユニホームを着ている自分がイメージできるかどうか。そして、そのホームグラウンドに立ってプレーする姿が想像できるか。そうやって想像していくとヤンキースとマリナーズが残った。マリナーズを出ることで失うものを補い、自分も他人も納得できるのはヤンキースしかないのかな、と考えたりもしました」

 残り約60試合で結果を出さないと、来季はない。彼は復活するのか。イチロー物語の最終章から目が離せない。

※週刊朝日 2012年8月10日号