衆参48人の国会議員を従え、新党「国民の生活が第一」を結成した小沢一郎衆院議員(70)。小沢氏がもくろむ次の選挙への秘策とは――。

 選挙の実動部隊としては、小沢氏の「私設秘書軍団」の存在も大きい。

 政権交代を成し遂げた2009年の総選挙では、全国のブロックごとに10人程度の秘書を張りつけ、新人候補の選挙運動を手取り足取り指導した。各秘書が選挙区の情勢を小沢氏に逐一報告し、指導を仰ぐ方式だった。

「とにかく選挙区を歩かせるのが小沢さんのやり方。各地の秘書には、候補者が回った所すべてに、後でお礼に行かせた。駅前でマイクを持って好きな政策を訴えるだけの、松下政経塾出身者の『カラオケ方式』とは全く違う選挙だ。あんまり小沢さんをなめないほうがいい」(小沢氏に近い関係者)

 その私設秘書軍団にはすでに、一斉に動くよう号令がかかっているという。

 しかも小沢氏には"切り札"がある。選挙のキラーコンテンツとなる「名簿」だ。民主党の中堅議員が声を潜めてこう証言する。

「小沢さんの手元には、うちの議員の支持者名簿がたんまりとある。何年もかけて集めてきたからね」

 この議員曰く、政治資金パーティーなどに小沢氏をゲストとして呼ぶと、後日、小沢事務所からこんな電話がかかってくる。

「来てくれた人へのお礼状をこちらでも出したいので、来場者の名簿をいただけませんか」

 不審に思いながらも「圧力」に屈して提出した議員は数知れず。

「支持者から手を回されたら、議員はたまったもんじゃない。常に選挙を念頭におき、いろんな手を打っておくのが、あの人のやり方だ」(中堅議員)

※週刊朝日 2012年7月20日号