日本では2人に1人ががんになる時代だが、近年の研究で、食生活とがんの関連が続々と明らかになっている。例えば一般に魚は体にいいといわれているが、がんに対してはどうなのか。最新情報を紹介しよう。

 魚は「体にいい」といわれながらも、今まではっきりしたがん予防のデータはほとんどなかった。

 だが先月、魚が「肝がん」の発生リスクを抑えるという発表を国立がん研究センターの研究チームが行った。45歳から74歳までの男女約9万人を5グループに分け、11年にわたり追跡調査して得た結果だという。

 EPAやDHAといった「不飽和脂肪酸」を多く含む魚を多く食べるグループは、最も食べる量の少ないグループに比べ、肝がんリスクは0.64倍まで下がった。調べた魚は、サケ、マス、アジ、イワシ、タイ、サンマ、サバ、ウナギの8種類。同センターの津金昌一郎部長によれば、肝がんを予防した要因は、以下の2点が考えられる。

「魚の不飽和脂肪酸には『炎症を抑える効果』があるので、慢性肝炎から肝がんになるのを抑えられたのではないか。肝がんの多くはB型肝炎やC型肝炎のウイルス感染から発症するのですが、すでに肝炎ウイルスに感染した人でも、魚を食べることで肝がんリスクの低下がみられました」

 また、糖尿病や肥満も肝がんを引き起こす理由とされているが、その影響を弱める可能性もあるという。

 ちなみにマグロでは赤身でなくトロの部分にDHAが多く含まれる。

※週刊朝日 2012年7月13日号