LCC(ローコストキャリア/格安航空会社)が、日本にも浸透してきた。座席の間隔は狭めだが、安さにひかれ、夏休みに使おうと計画中の人もいるだろう。だが、ちょっと待ってほしい。デメリットにも目を向け、十分な備えをしておかなければ、思わぬトラブルに巻き込まれかねない。6月に南欧を旅した都内在住の女性(48)の例を見てみよう。

 スペイン・バルセロナ縲恤ァ・マルセイユ間で利用したのは、スペインのLCCブエリング航空、マルセイユ縲怦ノ・パレルモ(シチリア島)間はアイルランドのライアンエアー、パレルモ縲恤ァ・パリ間はXLエアウェイズ・フランスを使った。

「LCCは荷物を預けるのも、座席の予約も有料ですが、それでも料金は大手よりも安かった。大手にはない路線もあって、時間も節約できそうだったので、迷わずLCCにしました」

 だが、現地では様々なトラブルに巻き込まれた。まずは、機内に持ち込む荷物でひともんちゃく。LCCは、持ち込める手荷物は基本的に1個に制限されている。小型スーツケースのほかに、貴重品を入れた小さいバッグを持ち込もうとしたところ、

「ブエリング航空はノーチェックでしたが、ライアンエアーでは、スーツケースにバッグを入れるよう注意されました」

 最大のトラブルは、帰国日に起きた。

 この日はパレルモ縲怎pリ間をXL社の便で移動し、パリから帰国する日程。パリでの乗り継ぎには7時間の余裕を見ていたという。

「ところが、当日パレルモの空港に着くと、予約していた便の出発時刻が7時間遅れに。事前の連絡はなく、空港にはXL社のカウンターもなかったので、やむなくイタリアの大手アリタリア航空の片道航空券を買ってパリへ向かいました」

 正規料金で買ったので、航空券代は625.467ユーロ(約6万2500円)と、LCCの4倍強もした。

※週刊朝日 2012年7月13日号