東京電力の株主総会が6月27日に開催された。東京都の猪瀬直樹副知事(65)が東電病院をやり玉に挙げ、それに対して東電側が虚偽の答弁をするなど、荒れ模様の展開となった。もっとも、総会で露呈した東電のあきれた体質はこれにとどまらない。

「新たに選ばれる取締役の経歴を見て驚きました。兼職問題で批判された人が、ゼネコンの取締役を兼務してるっていうんですから」

 そう語るのは東電関係者だ。

 その「人物」とは、NHK経営委員長と東電役員の兼職が問題となり、NHKを辞めた数土(すど)文夫氏(71)。騒動当時、わざわざ緊急記者会見を開いて「東電に専念する」と語ったはずの数土氏だが、実は昨年6月から大成建設の社外取締役になっていたのだ。

 今回の総会で、東電の社外取締役との兼務が決まったことになる。

「ゼネコンとは発注・受注関係になることもある。NHKよりこっちの兼職がよっぽど問題だろうって、わが社でもっぱらの話題ですよ」(同)

 東電にこの点をただすと、

「(大成建設の)社外取締役なので、当社との取引に影響を及ぼす立場にない。数土氏は企業経営の経験や見識をお持ちで、当社の社外取締役として適任と判断している」(広報部)

 もはや笑い話にもならない。

※週刊朝日 2012年7月13日号